混乱による慈愛


雑事を済ませるため休みをとった。


家にこもり郵送物を受け取り整理。家事洗濯掃除炊事を一挙に執り行い。
一段落、お八つに頂いたお菓子を食べ。
電話をとり画家から「○○(私の昼のテリトリー)の近くに来ているのだが食事でも」「すみません今日は一日在宅だったので」と言い。


夜にはまた書類の整理をして、銅版画を眺めていた。
顔を合わせたことの無い、しかし作品のファンであり、何度も手紙をやりとりしている画家の作品。
(その手紙はいつも文香が焚き染められている)
彼を思うといつもふしぎなきもちになる。彼の存在に触れるだけで私の人生は豊かになった。



そうして 風のつよい日 窓から西陽が射し マンションのうえのほうの狭い部屋
顔をあわせず敬愛する幾人かの事。
まるで自分がすでに死んだ人間かのように彼らを思ってた。


それは一種の混乱による慈愛かもしれなかったが。
あのような気持ちで 実際その時を迎えられるなら。


次の朝、電車のなかジュディ・シルを聴きながら
その曲はデモ録音で、
もうこの世にいない彼女の笑い声が録られていて。
彼女の死の気配は確かにあった。


B000BKJH4Yハート・フード
ジュディ・シル
Pヴァインレコード 2005-12-02

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「お八つに、頂いた可愛らしいお菓子」は、金沢本屋あうん堂“本を開いた形”クッキー
「本を開いた形の落雁が食べたいなぁ」って話していたのを覚えてくれていたみたい。